Hinoken
Cloud Nine./CNS
Locking

2009年からダンサーとしてのキャリアをスタート。
長身を使いこなしたダイナミックなムーヴと洗練された技術、ミュージカリティーで会場を湧かせる。
現在は『Cloud Nine.』や『CNS』としてショーケースやバトルイベント、コンテストなど様々な現場で活躍。

ソロにおいてもファンキーチキンやWDCをはじめ国内外問わず数々のバトルで優勝を重ね、
現代LOCKシーンの最前線で活躍するHinokenさん。

今回のインタビューでは、そんなHinokenさんがダンスを始め、シーンで活躍に至るまでのストーリーから、
去年ヘルニアを患いダンサー人生の危機に直面した経験、
そしてシーンと自身に目を向け再び歩き出した現在どんな価値観や思考を持ち行動しているのかなど、
様々な角度からお話を伺った。

ー今回REELで踊っていただきありがとうございました!
日頃から踊る際に意識してることはありますか?

ありがとうございました!

去年腰を痛めてヘルニアになってから、体重移動や姿勢など踊りの根本にあるシンプルなことを勉強し直して日頃練習してます。

あとは音の質感やタイミングを魅せられる技術と、もう一つは気持ちを大事にしてますね。
気持ちは思いっきり出すだけじゃなくて、リラックスしたり、人と共有する感覚だったり、
そういう心技体みたいなところは大事にしてます。

ー今回のダンスに関してどんな気持ちをイメージしていたんでしょうか?

序盤はリラックスしようと思ったんですが、やっぱり緊張しましたね笑

ただ徐々にテンションが上がっていって、それを素直に踊りに出すのもそうですが、その時に全部出し切らずに落ち着いて音楽に寄り添うことを意識しました。

ーダンスを始めたのはいつ頃ですか?

大学に入学して新歓公演を見て、やってみたいと思って始めました。

中高はバスケ部で、そのままバスケサークルにも入ったんですが練習が少なくて、元々ダンスに興味もあったので始めた感じですね。

ー最初はどんなジャンルからスタートしたんでしょうか?

最初はPOPでした。
新歓で大きな人がLOCKを踊ってて、あの人がやってるジャンルをやりたいです!って言ったらその人のメインジャンルが実はPOPで、
LOCKをやりたいと思いながら謎にPOPを練習してました笑

ーそうだったんですね笑
LOCKをやり始めたのはいつ頃なんでしょう?

その1ヶ月後くらいですね。
ふらっと来た先輩がLOCKを練習してて、「僕はあれがやりたいんです!」って言って、そこでLOCKという名前を知り始めました笑

ー当時影響を受けたダンサーさんはいますか?

沢山いるんですけど、やっぱり師匠でもあるDOWNTOWNBOUNCEのDAIKIさんですね。
大学2年生で、初めて外部のバトルに出て、その時のジャッジがDAIKIさんだったんです。

元々DOWNTOWNBOUNCEのショーをよく見てて、身長が高くて自分の体型と似てる人がいるって注目してたんです。
それがDAIKIさんということが分かって体験レッスンに行きました。
そこがシーンに入っていき始めた転換点ですね。

ープロとしてやっていこうと決めた転換点などもあったのでしょうか?

大学4年生の時に「夏コン」「BIG BANG!!」というコンテストで優勝できて、人生で初めて一番になれたんです。
それがダンサーの道を真剣に考えたきっかけですね。

あとBIG BANG!!の時に初めて大会に母親を呼んで、目の前でダンスをしてる自分、そして優勝する姿を見てもらったんです。

その後ダンスを続けたいですって話をしたら、「中途半端に大学続けるくらいならスパッと辞めて自分の道を決めたら?」って背中を押してくれて、
それで大学を中退してダンサーとしてやっていくことを決めました。

ーすごく理解のあるお母さんですね。

本当にあの時は僕も大号泣でありがとうって言って、あそこで決意したことで今があると思います。

あとはもちろんDAIKIさんにも相談して、「とにかく自分で決めること。そして自分で決めたからには人のせいにするなよ。」って言ってもらって、
そこでも自分の可能性に賭けてみたいと思えました。
その言葉は今でも心に残ってますね。

ー実際にフリーになってからはいかがでしたか?

やっぱりすぐにお仕事はもらえなくて、1年半くらいはバイトもしてました。

でもその時、先生たちや他の活躍してるダンサーと比べて、一番足りないものは何かって言ったら、圧倒的に「基礎力の差」だと思って、
1年間はアホみたいに基礎練をしてましたね笑

あとは技術や見聞を広げる為に沢山レッスンに通って、そこから自分のレッスンにも繋がっていったり、イベントで初めてナンバーを出させてもらって、少しづつ広げていった感じですね。

ー大学時代コンテストで優勝して、バトルでもBEST4など結果を残されていたと聞いて、 それでも基礎を磨くというのはどういうことやってたのか気になります。

本当にみんなが思いつくことですね笑
技の一つ一つの綺麗さやシルエット、音楽の乗り方、アイソレの精度、あとは動画を撮って角度を研究したり、ひたすら手が上がらなくなるまでトゥエル巻くみたいな。
とにかくやれることをやるって感じでしたね。

ちょうどその頃、バトルで負けたり、自分より上手くて感性豊かな人たちを沢山見て、自分のことを天才じゃないなって思ったタイミングだったんです。

ただそれは別に辛くなくて、「なら練習すればいいんだ!」って開き直れてあとはやるだけじゃんって笑
凡人だからこそ死ぬほど考えて練習しないとって思ってやってましたね。

ーその割り切りとポジティブさ素晴らしいですね笑
これまでで多くのイベントに出てきたとは思うのですが、特に達成感のあったイベントなどありますか?

沢山ありますけど2016年の「ファンキーチキン」ですかね。
初めて年齢制限のないイベントで優勝できて、そのあと立て続けに「スーパーフライデー」でも優勝できたんです。
そこで周りの目だったり、自分の心持ちも変わったように思います。

ーこれを意識したから勝てるようになったなどの要因があったりするのでしょうか?

自分の中で一番苦手だったリズムトレーニングを始めてた時期で、リズムに乗れるようになったのがひとつですね。

あとはバトルの前にTONY GOGOさんとお話しする機会があって、
「バトルの時はオフェンシブになるよね。それもいいけど、ずっとそうだと音楽が置いてけぼりになる。少しディフェンシブになって自分と向き合うことで音楽も聴けるようになると思うよ。」って言って頂いて、

自分もそれまではバトルは戦いだからとにかく相手に気持ちをぶつけて!って思ってたんですが、
その中でもディフェンシブになって音楽に寄り添ったり、自分の中に籠ってみたり、そういうバリエーションを学んだのは大きかったですね。

その切り替えが自分の中でナチュラルにできるようになって、踊りにぐっと深みが増したことが勝てるようになった要因だと思います。

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ー去年ヘルニアを患ったというお話がありましたが、発覚したタイミングはいつ頃だったのでしょうか?

OLD SCHOOL NIGHTから帰ってきたタイミングで、足が痺れて動けなくなってしまったんです。
それで整体行っても良くならなくて、調べたらヘルニアということがわかりました。

ダンスどころか寝れないくらい痛くて、あの期間はもうダンスできないのかなってすごく落ち込みました。

ー怪我は本当に怖いですよね、、
その期間はどのようにダンスと関わっていたんでしょうか?

やっぱりできることがないので、まずは音楽を聴いて頭だけでノってました。
音楽をしっかりきいて、音にノるってなんだろう?っていうところから考え直しましたね。

あとは、身体や力の使い方を見直したり、力まずずっとポイントし続けるとか、ゆっくり踊る練習をしてみたり、
それで痛みが走る時は、あーこれは無理をしてる動きなのかな?とか考えて少しづつ動かす範囲を広げていきました。

これまでかなり突っ走ってきたので、去年は自分と向き合ういい期間でしたし、
それで踊り方も変わって、いい意味で歳を一つ重ねたなって思います。

ー今回のダンスを見てもそんなことがあったとは思えないくらい素晴らしい踊りでした。

半年くらいで痛みが和らいで、でもそれでも踊るのは怖かったですね。
本当に気にせずっていうのはここ最近になってですかね。

ヘルニアを経て踊れる、動けるってことが当たり前じゃないって痛感したので、今は踊れるだけですごく楽しいです笑

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ー現在の主な活動も伺いたいです。

現在は、「Cloud Nine. 」「CNS」の二つのチームに所属していてコンテストやバトルに出たり、
あとはレッスンやMDD(明治大学ダンスサークル)の講師をしたり。

あとオーガナイズだと「LOCK CITY TOKYO」とそれに付随した「Lil LOCK CITY TOKYO」や「Funky President」などを主宰してます

ーオーガナイズするイベントに共通した想いなどはありますか?

とにかく輝ける場を作りたいですね。
輝く人を見れば憧れの的になるし、輝いてるあのバトルの空間に入りたいってなるはずです。

僕もずっと憧れでダンスを続けていけたので「あの舞台で自分の踊りを見せたい!」ってなるような場を作れたらと思いますね。

ーHinokenさんの発信では若手ダンサー達への想いが溢れてるように感じます。
これから輝く若手ダンサー達にどのように行動してほしいと思ってるのか伺いたいです。

まずはとにかく好きなことをやってほしいのが一番ですね。
好きなことをやるためには見え方もあると思うので悪いことじゃなくてダサいことするなよって感じです。
それで支えてくれたりお世話になった人に対しては、ダンスの結果だけじゃなくて気持ちで返す。
自分たちでイベントを企画したり、新しいものを生み出してシーンを盛り上げたり、そういう行動が連鎖していくといいですね。

あとはとにかく続けてほしい。
ダンスが好きだと苦しい時期もあるけど、とにかく続けたもん勝ちなので、とにかく続けてチャレンジして欲しいし、僕のイベントがその後押しになれば嬉しいですね。

ープレイヤーとしては、現在どういった活動に力を入れていますか?

今はコンテストやバトルに本腰を入れてチャレンジしてます。
コロナがあってとにかくシーンを支えないとと思って、これまではイベントのオーガナイズなどに注力してきました。
今ようやくコミュニティーが戻ってきて、また自分の活動に集中できるターンなので、
もう一個二個上の次元にいけるように挑戦していけたらと思ってます。

ー最後に今後の展望についても教えていただきたいです。

今考えている次のステップは、自分の表現を追求して代わりの効かない人間になっていくということですね。
これまでダンスやカルチャーの勉強を沢山してきましたが、自分に向き合う時間がもしかしたら少なかったのかもしれないと思って、
より自分を知ることで、自分じゃないとできない踊りを突き詰めていきたいです。

人としては、誰かの後押しやサポートができる人間になりたいですね。
元々学校の先生も目指してて、人の成長を見守るのが好きなんです。
そういった環境を育んでいける度量のある人間になっていきたいですし、その為には自分が尊敬される存在であるのも大事なので、
行動言動考え方ひとつひとつの意識を高く持って、かっこよく生きていきたいですね。

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