Mako
Valuence INFINITIES
Get Stupid
8 North Gate
BREAKIN’

16歳の時、 高校の応援団での活動をきっかけにダンスを始める。

独自のスタイルとそれを支える確かな基礎力を武器に、
FLAVOR、Top of Rock 2020での優勝、世界大会Silverback Open本戦出場など、
国内外数々のバトルで結果を残す。

現在は「Valuence INFINITIES」の一員としてDリーグに参戦。
自身のスキルに加え、ムードメーカーとしてもチームを牽引している。

今回はシーンでも一際異彩を放つMakoさんのダンススタイル、それが形成するに至ったダンス半生、
さらに現在Valuence INFINITIESのメンバーとして新たな舞台で想うことを伺った。

『自分の踊りで「人と違くていいんだ」と思って欲しい』

ー今回REELで踊っていただきありがとうございました!
日頃から踊る時に意識してることはありますか?

ありがとうございました!

まずマインドの面だと人の意見を気にしないことですね。

特にものやネタを作るときの初期段階では、自分が面白い!って思えるものを作るようにしてます。

それを人前で見せる時や、イベントなどシステムの中での評価が重要な時など、必要に応じてもらった意見に耳を傾けるようにしてます。

ーまずは自分が楽しめるものをですね。
Makoさんがダンスの中で面白いと思う部分はどこでしょう?

ムーヴの中には動いてる時間と止まってる時間があると思うんですが、
僕はその動線が好きで、そこをどう不思議にいくかを追求して踊ってますね。

ーなるほど!点ではなく線の部分をいかに魅せるか。

そうですね。

そこが音取りや動きがユニークに見える部分かもしれません。

ー今回の曲では細かい音が連続していて、正直BBOYが踊る姿は想像できませんでした笑

今Valuence INFINITIESで一緒のSEIYAに「これで踊れたらモテる」って言われて選んでもらいました笑

実際僕が普通のブレイクビーツで踊っても違うなと思って、
SEIYAにどんな曲で踊ってるの観たい?って聞いたら、死ぬほど難しいの送ってきましたね笑

ーそうだったんですね笑
実際Makoさんにしか踊れないBREAKINが観れて最高でした。
今回の見所はどんなところでしょう?

好きな動きを随所に散らしているので見て楽しんでもらえたらと思います。 特に序盤から中盤にかけての変則的なビートの表現は頑張りました笑

あとは自分のスタイルを見て、BREAKIN始めたての人が「なんなんだこれは!」みたいに思ってもらえたら嬉しいですね。

人と違くていいんだみたいになれば笑

『手首の怪我でスタイルの原型を掴む』

ーここからはMakoさんのダンス人生にフォーカスしてお話を伺いたいのですが、
まずはご自身の中でここで踊り方や価値観が変わったという、3つの転換点を教えて頂きたいです。

一つ目は、大学3年生の時に両手首を怪我したこと。

二つ目は、大学4年生で師匠的な人ができたこと。

三つ目は、24歳くらいに長く付き合った彼女とお別れしたことですね。

ーありがとうございます。その3つを軸に質問していきますね。
まずはそもそもダンスを始めたのはいつ頃ですか?

高1の体育祭の応援団でダンスやって面白いなと思って、
その流れで先輩に誘われてダンス部に入りました。

ー最初は何のジャンルをやってたんですか?

最初はLOCKをやってました。

それからLOCKを研究するために“UK B-Boy Championships”のDVDを買ったら、 その中にBREAKINの動画も入ってて、
それを観て面白そうだなと思ったのがBREAKINを始めたきっかけですね。

UK B-Boy Championships:ロンドンで行われているブレイクダンスをはじめとしたオールドスクールのダンス世界大会

ーそうだったんですね。
当時はどんなダンススタイルだったんでしょうか?

当時は正統派のBREAKINがカッコいいと思って練習してましたね。

ー現在のスタイルに変化していくきっかけは何だったんでしょうか?

転換点の一つ目で言った両手首を怪我した時ですね。

ー大学3年生の時ですね。
BBOYにとって手首の怪我って致命傷ですよね、、

そうなんですよ。

それで床に手をつけなくなってしまって、今までやってた踊りがほとんどできなくなって、、

ただその時バックロック(背中をついた状態でのムーヴ)が流行り始めた時期で、
それをひたすら練習してて、 チェアができないから、肩フリーズとかスレッドを練習してたらほぼ肩から落ちなくなったんです。

ーそこが現在のスタイルの原型なんですね!

やっぱり手を集中して使うから怪我をするので、
今はそこじゃない部分を練習するタイミングなんだ!と思ってやってましたね。

ー柔軟な発想ですごいです笑

楽観的というか、人生であまり辛い時間を過ごしたくないタイプなのでそうシフトしたんです笑

ー転換点の二つ目で大学4年生で師匠的な人が出来るということですが、どなたなんでしょう?

元All Area、TOPNATION B-BOYToMoですね。

当時は手首の怪我が癖になってあまり良くならなかったんです。

そのタイミングでToMoに会って相談したら、
「軸側に負荷がかかってるから逆側も鍛えればバランス良くなるよ」って言われて、
それで逆側を鍛え始めたら本当に治って笑

それでこの人すごい!ってなってよく関わるようになったんです。

ーそれはすごいですね笑
師匠的な存在ということですが、それからも色んな事を教えてもらったんでしょうか?

そうですね。

面倒見がいい人なんで毎回的確なアドバイスをもらえて、 当時FLAVOR(大学生限定のBBOY1on1バトル)で予選通ってなかったのがいきなりBEST4まで行けて。

ToMoと練習してたから周りが上手く感じなくて自信がついたんですよね。

それでその次は優勝できたんです。

ーすごい!

それで優勝できました!ってToMoに言ったら、
「違うんだよ。お前は優勝できる実力があったのにその使い方をわかってなかっただけ」って言われて笑

当時は理解できない言葉やアドバイスも、ある時ふとそういう事だったのかって思えるんですよ。

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『優勝するには勝ちに行く姿勢を持つこと』

ー素晴らしい指導者ですね笑
学生シーンでトップになり、卒業後はダンサーとして歩み始めた?

そうですね。

ただダンサーとして飛び抜けられるわけでもなく、当時は苦しかったです。

あと卒業してしばらくしてから、長く付き合った彼女と別れてしまって、
それで全部どうでも良くなったんです笑

ー三つ目の転換点ですね。

そうです。

それでもう誰にも受けなくていいから自分の好きなことだけやろう!って決心して、
自分のスタイルに拍車がかかるんです笑

ーなるほど笑
世間体が削ぎ落とされて我が道を突き進んだ。

それがスタイルの原型パート2みたいな感じですね。

当時はひたすら練習して仙人みたいに思われてました笑

それが功を奏してか、2018年には世界大会のSilverback Openで予選通ったりもして。

ーそれは凄いですね、、

ただ何か勝ちきれないとこがあって、
その時にToMoに「勝ちに行く姿勢を持たないと上にはいけない」って言われたんです。

確かに勝つことに真剣に向き合ってバトルに臨んでいなかったかもしれないと思って、
実際真面目に踊っているつもりでも、他人からふざけてるって捉えられることもあるんです。

ーここでまたToMoさんに気付かされるわけですね。

あと僕は格闘家の須藤元気が好きなんですが、
彼は試合中変な動きを入れるんです。一見ふざけているようにも感じる。

ただ改めて見ると、「勝つという目的の為の一つの手段としてふざけているんだ」って気づいて、
そこがToMoの言ったこととマッチしたんです。

それでマインドを改めて、真剣に勝つ気で挑んだバトルで優勝出来て、
そこから去年は8回くらいバトルで優勝できました。

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『向こうがAなら僕らはA+をする』

ーすごい!去年は絶頂期だったんですね!
ちなみに現在は新たな環境としてDリーグに挑戦してますよね?

そうですね。
ディレクターのSTEEZさんが率いる“Valuence INFINITIES”に所属しています。

これも推薦してくれたのはSEIYAですね。

自分は閉鎖的な部分もあるので上手く行くか不安な部分はあったんですが、SEIYAと何か一緒に戦えるなら面白そうだなと思いました。

ーValuence INFINITIESは22-23シーズンから参戦したチームですが、
どういったテーマでDリーグに挑んでいますか?

『既存の枠にとらわれない』をコンセプトにダンスの可能性を発信しています。

HIPHOPとBREAKIN’を中心に、ストリートダンスのアンダーグラウンドそのままのかっこよさを、オーバーシーンに持っていくようにしてます。

ー確かにValuenceのダンスはもちろん、移動の歩いてる姿さえカッコいいんですよね笑

確かにそこはうちのチームだけしか魅せられないところかもしれませんね笑

ーMakoさんの立ち位置はどんなとこでしょう?

今はHIPHOP側のメンバーの中で、スパイス的にBREAKIN’を入れるポジションですね。

僕らのスタイルとしては、BREAKIN’とHIPHOPを融合させ、既存の枠では考えられないものを作ることを目指しているので、
自分はその架け橋でもありますし、 論理的に物事を考えるタイプなのでそういったアイデアを投げたりもしてますね。

ー現在ROUND3まで終えて、Makoさんの中で一番思い入れのあるショーはどれでしょう?

やっぱり開幕戦ですかね。

元々HIPHOPはメインではないので、ほぼわかんない状態からみんなと力を合わせて一つのものができたので達成感が特に強かったです。

内容的には、1分からの僕のフリーズは自分でやってながらすごい音ハメができたなと思います。

あとその後のステージを大きく使ったユニゾンから、SEIYAと自分のフットワークに行く流れ。
全部がいい感じに組み合っててすごい好きですね。

【Dリーグ】ROUND.1 5th MATCH / Valuence INFINITIES

ー渋くて凄くかっこいいです!
3ROUNDを経て何か気づきはありましたか?

自分がカッコいいと思う作品を作ることはもちろんですが、
相手がこうくるから僕らはこうしようっていう差別化みたいなことはやっぱり大事だと思いますね。

ただそこでAだからBでいこうっていうのは勝ちではなくて引き分けだと思うんです。

向こうがAなら僕らはA+をする。
その+をどうつけるかをみんなで模索してますね。

ー確かに勝ち方も大事なポイントですよね。
是非今後の意気込みを教えて欲しいです。

早くも3ラウンド終えたValuence INFINITIESですが、日々練習する中で新しい発見がいくつもあります。

「ストリート」と一口に言ってもそれぞれのストリート観も違います。
それらがうまく融合したINFINITIES色を出せるよう作品制作に取り組んでますので、楽しみにお待ちください!

ー凄く楽しみにしてます!
もう少し先のこともお聞きしたいのですが、ダンサーとしての将来像みたいなものはありますか?

自分はあまりこうなりたいとかはないんですが、面白いことをしたいと思ってます笑

今回のDリーグも自分がいたら絶対面白い!って思ったからで、そういうことを見せていきたいですね。

ーなるほど笑
Makoさんの面白い基準とは意外性みたいなことなんでしょうか?

意外性があることも面白いと思います。

ただ自分の言ってる面白いということは、ダンスを通じて何か感じるという体験全てのことです。

例えばプレイヤーでなくても、知らない土地に行って1からダンスシーンを作る体験は面白いと思うし、
ダンススタジオを経営したりも面白いと思います。

そういう自分の面白いを求めた行動を通じて、
「あいつちょーやばい!」「あいつには負けたくない!」みたいに、
誰かの心を動かして、その人の原動力になれたら嬉しいです。

その為にこれからも面白いことに挑戦していきたいですね。

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