ASHITAKA
-BEFEEMOSS
-BREAKIN

ブレイクダンスの逆立ちの技「ワンハンドラビット」世界ギネス記録保持者

ダンサーとしても、ストリートシーンでは「UK BBOY CHAMPIONSHIPS」 (ブレイクダンス全国大会) で準優勝、
またA-POPシーンでも「あきばっか〜の 」(アニソンダンスバトル全国大会) で4度優勝するなど、各シーンでその名を轟かす。

現在は関東を中心に、パフォーマンス、メディア出演、イベント主催・出演などをする傍ら、
地元新潟でのイベント開催など地元のダンス業界の盛り上げに貢献している。

今回はそんなASHITAKAさんのダンスとの出会いから、プロダンサーとして生活できるようになるまで。
さらにSNS運用やオンラインサロン開設など、持ち前の分析力とビジネスセンスで新しいダンサーの生き方を模索するヒントを伺った。

『縦系での音楽表現&ASHITAKAさん流ネタの作り方

ー今回REELで踊っていただきありがとうございました!
踊る時に意識してることや大事にしてることはありますか?

ありがとうございました!

意識しているのは、縦系の凄さみたいなのはもちろんなんですけど、それでいて音もしっかり取れるという部分をめちゃくちゃ大事にしてますね。

ー確かにそこがパフォーマンスとダンスの違いなのかなとASHITAKAさんのダンスを見て思いました。

そうですね。ただのすごい人って思われるのは嫌なんで、 ちゃんとダンサーだよっていう、音も取れるよっていうところを見て欲しいですね。

-ASHITAKAさんの思う縦系の楽しさってどんなところなんでしょう?

まず縦系はオンビートでちゃんとリズムキープをしながら飛ぶっていうことが多いんですけど、 そうやってノって飛んでるだけでも楽しいですね。

そこからさらに自分がやってるみたいな音ハメをしたり、特に縦形は音ハメがしやすいスタイルだと思っているので、 そういうところの気持ち良さっていうところが一番の魅力かなと思います。

ー確かに今回のダンスでも音とのシンクロが素晴らしかったです。
引き出しの多さも凄いなと思いまして、ネタの作り方ってどうしているんでしょう?

ネタの作り方は本当にいろんなパターンがあるんですけど、 2つ絞るとするなら、
まず1個は自分の得意技とか得意な動き、 他の人よりも身体的特徴で勝っている部分をとにかく取り入れていくことですね。

例えば新しい動きを覚えたとして、俺は逆立ち状態で高く飛ぶのが得意なんで、
じゃあその新しい動き+高く飛ぶっていうのをうまく掛け合わせれないかなっていう風に考えて、 新しいネタができることは多いですね。

もう1個はとにかく適当に動きまくる。

ぐちゃぐちゃって動いて、その時にこれいいかもってなったことをネタにするみたいな感じですね。

基本的に自分のできる範囲が小さければ小さいほどネタってあんまり出てこないと思ってて、だから新しい動きを取り入れたり、自分がここまで動けますよっていうところの範囲外で、 ぐちゃぐちゃでもいいから動いて、そこでの新しい発見を元にネタを作っていくとやりやすいのかなと思います。

ー得意と偶然を大事にする感じなんですね!
今回(REEL)のダンスに関してもお聞きしたいんですが、まず選曲の基準などはありましたか?

今回の曲はHACHIさんと、KMNZ(ケモノズ)という人のコラボレーション楽曲「Fiction」を選びました。

自分は特にKMNZ(ケモノズ)がめちゃくちゃ好きで、VTuberっていう2次元の配信者で、
推しの楽曲で踊りたいっていう気持ちで今回使わせてもらいました。

使いの部分はビートがしっかりある繋ぎの部分で、縦系と相性が良くて気持ちいいっていうことでそこを選びましたね。

ー特に注目してほしいポイントだったり、こう見ると面白いなどがあれば教えて頂きたいです。

さっき言った自分の意識してるポイントもそうなんですけど、 ただラビットがすごいだけじゃなくて、ちゃんとそこで音を取ってる。
しかもそれをどういう風に取ってるかっていうところも見てほしいですね!

ただリズムでポンポンポンって取ってるだけじゃなくて、その音に対して縦系でどう表現してるか。

例えばウーみたいな音をウェーブで表現するのと同じで、 それをラビットで表現してるみたいなイメージですね。

ちゃんと音の質感やキレの部分だったりとかも意識してるんで注目して見てほしいと思います。

『縦系との出会いからプロダンサーになるまで

ーありがとうございました!
ここからはASHITAKAさんのダンス人生にフォーカスしてお話を伺いたいのですが、
まずはご自身の中でここで踊り方や価値観が変わったという、3つの転換点を教えて頂きたいです。

一つ目は、2013年にギネス記録を取ったこと

二つ目は、2015年A-POPのシーンに出始めたこと

三つ目は、2017年に上京したことですね。

ーありがとうございます。その3つを軸に質問していきますね。
まずはそもそもダンスを始めたのはいつ頃ですか?

ブレイクダンスを始めたきっかけは「少年チャンプル」っていうテレビ番組が2005年くらいにやってて、そこでブレイクダンスを観てからですね。

ちょうど高校生になるくらいの時で何か新しいことを始めたいっていう時でした。

ーその時観たのが縦系だったりしたんでしょうか?

いえ、少年チャンプルで最初に観たのは回転技とかでしたね。

ただ同じタイミングで、その翌週にもまた番組があって、その時にTOSHIKITAISUKEがラビット(両手倒立で跳ねる技)をやってたんですよ。

それを観てめちゃくちゃかっこいい!って思って、それからラビットを始めてるんで、ダンス歴=縦系歴ですね。

ー実際に始めようってなってまずどうしたんでしょうか?

当時自分は新潟に住んでたんで、新潟でダンスをやってる人を掲示板で調べて、その人達がいるところに行ったんです。

そうしたら20人くらいで、身内バトルみたいなのをやってて、いつも練習してるとこに来なよって言ってもらえて、
そこから通い出した感じですね。

ーそこでダンス仲間ができたんですね。 ブレイクダンスをやってる人もいたんですか?

それこそ自分の師匠で、「BEFEEMOSS」のチームメイトでもあるMONZENさんがいて、 MONZENさんはその時片手ラビットをやってたんです。

両手ラビットしか知らなかった自分からしたら、片手でできるの!?ってなって。
そこからずっと片手を追い求めて、さらにのめり込んだ感じですね。

ー縦系をやり始めて、形になってきたのはどのくらいなんでしょう?

1ヶ月くらいで両手ラビットが10回くらい出来るようになって、
半年くらいで肘とかのコンボとか、片手ラビットもできるようになって、
1年経ってくらいから片手ラビットの派生技などに手を出し始めましたね。

その後、肘上げとか足抜きみたいな一般的な派生技は2年から2年半くらいで全部できましたね。

-その頃から派生技もされてたんですね。

そうですね。MONZENさんの後に衝撃を受けたのが、MORTAL COMBATJUJUさんで、 最初観たのはBOTY JAPAN 2005のMORTAL COMBATのショーでした。

本当に色んな派生技をしてて、さらに音をめちゃくちゃ取ってるんですよ。 それでかっこいい!ってくらってしまって、それからはJUJUさんの動画をスロー再生で勉強したりして、徐々にできるようになった感じですね。

BOTY JAPAN 2005 PRELIMINARY- MORTAL COMBAT 

ー転換点の一つ目で、2013年にギネス記録を取ったということですが、 ギネス記録はずっと挑戦していたんでしょうか?

いえ、その時が初めてですね。

滋賀でやってる「B-BOY商店街」っていうイベントがあって、全国からB-BOYが集まるモンスターイベントなんですが、
たまに縦系コンテストっていう縦系に絞ったバトルみたいなのが開催されてたんです。

自分はそこで3連覇して、3連覇できるんだったら日本一名乗っていいんじゃないかって思った時に、じゃあギネス取ってみるかみたいな気持ちで調べはじめたんです。

そうしたら動画を撮って送って認定してもらえるシステムがあって、それに応募してギネスを取れたという感じですね。

ーそれで実際に取れるのが凄いですね笑
ギネスを取ってやっぱり世間の評価なども変わったんでしょうか?

分かりやすく言うと、テレビとかに出た時に、逆立ち世界一の人ですみたいな紹介が簡単にできるようになったのがめちゃくちゃ楽になったというか、そういうところでお仕事をもらいやすくなりましたね。

後自分は大学行かずにずっとフリーターをしながらダンスをやってて、それが親にはかなり反対されてたんですよ。
大学も行かずにいつまでフリーターやってるの?みたいな感じでずっと言われ続けてて。

でもギネスを取って、テレビに出た時にようやく認めてもらえて、ダンサーとしての活動を応援してくれるようになったんです。

なので社会的に認められたという意味では、ギネスを取ったことはめちゃくちゃ大きかったですね。

-ギネスが現在のご活躍の原点になっているんですね。
転換点の2つ目では、2015年頃からA-POPのシーンに出始めたということですが、これは元々アニメが好きでその流れでという感じなんでしょうか?

そうですね。ただアニメはかなり見てたんですけど、アニソンバトルにはあまり興味がなかったんですよ。

そんな時に「あきばっか〜の」っていう涼宮あつきさんが開いてるイベントにジャッジとして呼んで頂いたんです。

それで実際に会場で観たら、今まで自分が体験したことのないことが行われすぎてて、アニソンバトルってめちゃくちゃ面白いじゃん!みたいな笑

そこで一気にガッと視野が広がったんです。

自分はアニメも見てたし、アニソンも好きでよく聴いてたんで、じゃあ今度自分も出てみようって思って、
そこからはずっとA-POPシーンにいる感じですね。

ー確かにストリートの人でも実際に観て本当に感動したって人多いですよね。
A-POPのバトルとストリートダンスのバトルで感じる違いとはどんなところでしょう?

ダンスを魅せる上での違いっていう部分に関しては正直あんまりないのかなと思うんですけど、
大きな違いがあるとしたら、普通のストリートバトルよりもエンタメ性が強いっていう、 割と何でもありっていうところがA-POPのいいところかなと思いますね。

要はかましたら勝ちというか、それこそダンスじゃない人もいて、けん玉とかバスケットボールとか、かめはめ波とかして盛り上げたりとか、コスプレしたり、とにかく笑わせにくる人もいたり。

後はやっぱり一番はアニソンやアニメへの愛かなと思いますね。

曲が流れたときにみんながうわぁー!ってなるのが、やっぱりストリートにはあまりない文化なんで、それはやっぱり魅力的ですね。

ー確かにA-POPのお客さんの熱気は凄まじいですよね。
A-POPを通してさらに知名度が上がり、この頃からダンスで生計を立てられるようになった感じなんでしょうか?

プロダンサーとして自立できたのは、上京してきたタイミングですね。

-転換点の3つ目、2017年の時ですね。

そうです。

やっぱり東京は仕事の量が全然違うんです。
自分はレッスン以外にも、スポンサーについて頂いて活動したり、テレビ出演、パフォーマンス依頼、あとはイベントも開いたりして、東京は人の数も多い分本当にいろんな選択肢があってすごいなと思いました。

あとは、ASHITAKA東京来たんだって知ってジャッジ呼んでくれたりとか、レッスン開いたらみんな集まってくれたりとか、 それまで知っててくれた人達のおかげで、バイトをせずに職業ダンサーとしてやっていけるようになりましたね。

-そうなんですね。縦系だと生徒さんの数も限られてくるような気がしますがどうなんでしょう?

基本的に縦系はレッスンでは教えないんですよ。

毎週木曜の定期レッスンでは、本当にオールラウンドに、その人の個性を伸ばしつつ何でもできるようになろうね、みたいな感じでやってます。

縦系はたまにやるワークショップとか、あとは今オンラインで「縦系マスターズクラス」っていうのをやってるんで、そこで教えてますね。

縦系みたいなスキルは、振り付けとかと違って教えてすぐできるものじゃないですし、ひたすら続けていくっていうのが大事なので、教えたとしても月1とかでいいんですよね。

ーなるほど。確かにそうですよね。

特に自分の定期レッスンに来る子は、A-POPのバトルを観てくる人が多いので、
それなら色々基礎的なことをできるようになった上で、自分の個性を伸ばしてみようね!って言う感じで教えることが多いですね。

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『現在力を入れてる活動とオンラインサロン

ー現在特に力を入れてる活動はありますか?

今はイベントとダンサー以外の部分に力を入れてますね。

イベントで言うと、自分はA-POPのイベントとブレイクダンスのイベントを東京と新潟で10個くらいやってるんですよ。

その中でも自分が一番力を入れてるのが、「Shout A BATTLECRY」っていうA-POPバトルのイベントで、
前回は動員数が300人くらいいって、バトラーも豪華で関東を代表するイベントみたいな感じになりつつあるんで、 その規模をもうちょっと大きくしていきたいなって思ってます。

-ご自身でも沢山イベントをやってるんですね! ダンサー以外の部分で力を入れてることは何でしょう?

SNSの運用代行っていう仕事を始めて、自分はインスタが伸びて、ある程度ノウハウが分かっているので、
そのノウハウを使って他の人のアカウントを伸ばしますよっていうお仕事をやってます。

いつかは自分がプレイヤーとしてお金を稼げなくなるときがくると思うので、 じゃあどうしていくかっていうときにデスクワーク的なこともできなきゃいけないし、
自分はそもそもそういう仕事が好きなんで、今そこに力を入れてどんどん仕事が増えていけば他の人にパスしたり、ノウハウを教えたり、こういう稼ぎ方もあるよっていうのを共有できたりすると思うので、今頑張ってますね。

ーすごいですね。そのノウハウは独学で身につけたんでしょうか?

そうですね。自分でいろいろ試して分析してこういう感じがいいのかなみたいな。
あとはYouTubeを見て勉強したりとかですね。

ーそういった分析とかデスクワークみたいなことは昔から好きだったんですか?

そうですね。イベント運営も、ダンス歴2、3年くらいの時からずっとやってて、本当に身内だけのバトルイベントからスタートして、新潟でもずっと「Blowout」っていうイベントをやってます。

人を呼んだりとか、お金の計算をしたりとか、 ダンスでもネタ帳をExcelで管理してたり、
そういうデスクワーク的なことがめちゃくちゃ好きなんです。

-ダンスの技術だけじゃなくて、今後はそういうマルチなスキルが大事になってきそうですね。
ちなみに先ほど出た「縦系マスターズクラス」っていうオンラインサロン的なこともやられてますよね?

そうですね。コロナ禍で始めてそろそろ3年経ちますね。

ここでは、縦系の技もそうですし、縦系と相性がいい技だったり、そこの繋ぎ方とか、
主に縦系に関するレクチャーを配信して、 わかんないことがあったらLINEで聞いてもらって、アドバイスしてみたいな感じでやってます。

あとはトップロックとかフットワークも教えますし、結構自分が大事にしているのはマインドの部分とかバトルでの戦略だったりも教えてますね。

-戦略的な部分気になります。そこも分析力のあるASHITAKAさんらしい気がします。

そうですね。例えばバトルで緊張しないやり方みたいなテーマでカメラに向かってしゃべったりみたいなのを上げたり。

マインドで言えば、視野の広げ方とか、こういう風にやるともっと人生楽しくなるよみたいな、そういう人生観の話もしたりとかしてますね。

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『自分の好きなシーンをさらに盛り上げたい

ー今後のことをお聞きしたいんですけど、 これからダンサーとして、人としてどうなっていきたいみたいなのはありますか?

正直ここに関してはそんなにないというか、こうやったら達成みたいなのは正直あんまりないんですが、
ざっくり言うと、今自分が所属しているコミュニティのシーンをもっと広げていきたいっていうのが強いですね。

地元新潟のブレイクダンスシーンもそうですし、 全国的にA-POPシーンをもっと盛り上げたいっていうのもそうですし、縦形をもっと盛り上げたいっていうのもあります。

-具体的な盛り上げ方って見えてたりするんでしょうか?

やっぱりそこは「稼ぐ」につながってくるのかなって思います。

特に新潟では、自分だけじゃなくて他の人も職業ダンサーとして稼いでいけるように、
まずは自分が稼いで、その稼ぐ選択肢を増やして、それをパスして、 みんなで稼いでいけるようになったらいいなっていう状態にしていきたいっていうのが強いです。

-確かに生活が安定すれば、より好きなことにのめり込む時間も増えますもんね。

あと個人的な想いとしては、アニメが好きなんで、アニメ関係の仕事に携われるといいなっていうのと、
自分の推しでもあるKMNZ(ケモノズ)と共演するのが夢かなって思います。

こないだVTuberの業界の人と喋ったら、まだまだ一般には浸透してないっていう話をしてたんで、
やっぱりオタク側としては自分の好きなものをもっと盛り上げて、より多くの人と共有できたら最高だな!って思いますね。

-VTuber業界もこれからさらに盛り上がっていきそうですね!
ASHITAKAさん本日は貴重なお話ありがとうございました!

ありがとうございました!

是非オタクの人はTwitterをフォローしてほしいですし、ダンスが好きな人はダンス動画がインスタに沢山あるので是非フォローしてください!

あとYouTubeで倒立のレクチャーなどもアップしているので、良かったらチャンネル登録してください!

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撮影・編集・インタビュー:ReoKomatsu