がんそ
DELTRIX /
しょまとがんそ
POPPIN'

高校からダンスを始め、ダンス専門を経て大学ダンスサークルにも所属。
ダンス漬けの学生時代を過ごす。

圧倒的練習量で培われた基礎力と多彩な技の数々を武器に、
DANCE@LIVE JAPAN FINAL 2014 RIZEFUNKY CHIKEN 2015で優勝。

大学卒業後は一度会社員になるも、ダンスへの熱が治まらず退社。
WDC関東 2017での優勝や、チーム「DELTRIX」においてもJAPAN DANCE DELIGHT ファイナリストに3度輝くなど、ダンスシーンにその名を轟かす。

今回はそんながんそさんのこれまでのダンス半生を深掘り、
踊る上でのこだわりから、ダンスに影響を与えた環境と価値観の変化、
さらに「APOP」「踊ってみた」など、ストリート以外にも様々なシーンを行き来するがんそさんの将来像など、様々な角度からお話を伺った。

『全身が一つの筋肉になるイメージでヒットを打つ』

ー今回REELで踊っていただきありがとうございました!
日頃から踊る時に意識してることはありますか?

ありがとうございました!

基礎を特に大事にしていて、できるだけシンプルな動きを高水準で踊れるように意識しています。

あとは、バトルやショーなどその時のTPOに合わせた気持ちの入れ方をしつつ、
なるべく自由であるように心がけてますね。

ー今回のダンス(REEL)でのTPOはどんなことを意識しましたか?

今回は映像メインということで、最初はギアを外しすぎないように、 テクニックをしっかり魅せるように意識しました。

ただラストのOKテイクは、フルアウトで、バトルの決勝のイメージで踊りましたね。

ー一気に雰囲気が変わって凄まじかったです笑

気持ちを出しすぎると普段練習してることが出しづらくなるので諸刃の剣ですね笑

ー本当に音取りが多彩で凄すぎました。
技のネタみたいなものがあるんでしょうか?

ネタとネタの卵はありますね。

BBOYのバトルが好きで見ることが多くて、その影響でここぞという時の技は何個か持ってます。

あとは、そこまでガッツリ作ってないけど、「すごい回転」や「大きく横に移動する」みたいな、
ざっくりした動きは何個かイメージとして持ってますね。

ーなるほど!今回の見所はどんなところでしょう?

まずは魂の解放を見てもらえればと思います笑

あとはヒットの強さと、その魅せ方が自分の強みなのでそこですかね。

ーヒットを強くする為にどのような練習をしていたのでしょうか?

イメージでいうと、100m先の人でもヒットが見えるというか、
離れててもそういう気持ちが伝わるようなイメージで練習してました。

その為に遠くにカメラを置いて撮って研究したりもしてましたね。

ー意識するだけで変わりそうですね!
がんそさんの中でヒットを強く打つコツはありますか?

全身で打つことですね。

テクニックで言うと、そこ打てるの?みたいな箇所が自分は打てるので、 ヒットを打てる場所をとにかく増やす。

あとイメージとしては、タオルをバンって引っ張ったらバチンとなるじゃないですか。

それと同じで、全身が一つの筋肉になるようなイメージでやると、全身でヒットを打てる感覚が身につくと思います。

『ダンスの苦手分野がいつの間にか武器になってた』

ここからはがんそさんのダンス人生にフォーカスしてお話を伺いたいのですが、
まずはご自身の中でここで踊り方や価値観が変わったという、3つの転換点を教えて頂きたいです。

一つ目は、20歳の時でメインがLOCKだったんですが、今のメインであるPOPに転換した時。

二つ目は、22歳くらいで基礎をとにかく磨いたこと。 あとは人と練習する機会を増やしたことですね。

三つ目は、26歳の時に会社を辞めてダンサーになることを決断したことですね。

ーありがとうございます。その3つを軸に質問していきますね。
まずはダンスを始めたのはいつ頃ですか?

中学生から有名人になりたい願望があって、俳優の養成所に行ってたんです。

ただ高校からダンスでもテレビ出てる人いるしいいなと思って、ダンス部に入ったのがきっかけですね。

ーそれで演技ではなくダンスに、、

そうですね。

ダンスにすごくハマっちゃって笑
そこからはダンス一筋でやってますね。

ー最初のジャンルは何だったですか?

部活のHIPHOPですね。

あとは受け放題のクラスに行って、JAZZ、GIRLS、POP、HOUSEなども一通りやって、 それからはLOCKをメインに踊ってました。

当時は「スーパーチャンプル」がテレビでやってて、満遍なくどのジャンルにも憧れがあったので、色々好きで踊ってたんです。

ー転換点の一つ目では、20歳の時にLOCKから現在のメインでもあるPOPに。
当時は大学生ですか?

専門の2年生ですね。

東京アナウンス学院のダンス専攻に通ってました。

ーそうなんですね! POPに傾いたきっかけは何だったんでしょうか?

当時はとにかくバトルで勝ちたいと思ってて、LOCKよりPOPが向いてるかもと思ってた時期だったんです。

それで学校内のバトルで、これで勝てなかったらダンス辞めようくらいの気持ちでPOPで挑んだバトルで優勝することが出来て、
当時は泣いたくらい嬉しかったですね笑

そこまで気合いを入れて結果も付いてきたので、POPに愛着がこもって今でも続けてる感じですかね。

ーすごい気合いですね笑
そうなると専門卒業後はダンサーに?

いえ。
当時はダンスが好きだけどダンサーになるイメージがつかなくて、、

それで株にも少し興味が出てきたタイミングだったので、それなら大学の経営学部かなと思って、予備校から大学に行きました。

ーさらに新しい道に笑
そうしたら転換点の二つ目、22歳で基礎を固めたのは大学生の時ですかね?

そうです。

基礎固めを具体的に言うと、習った事をしっかり練習で繰り返すこと。

あとは人と一緒に練習する機会も増やしましたね。

ーちなみに先生はどなたになるんですか?

当時は東京の大御所でもあるYANAGI(from O.G.S)さん、
あとはRYUZYさんATZOさんですね。

ー具体的にレッスンをどう消化していたんでしょう?

バトラーの人は習った事を参考にしようっていう感覚が強いと思うんです。

一方でショーに出る人は、頭からつま先まで先生を完コピする意識をしてると思います。

そういう完コピをする感覚で先生のことを真似すると、見えてくることが多くありました。

動きだけでなく、先生が言わなくても重心がどこに乗ってるか見極めたり、そこまで忠実に再現できるように練習してましたね。

ーなるほど。それを続けたことで踊りが変わっていったんですね。

やっぱりそういうガッツリやる時期は必要だと思います。

分かんないことは避けちゃうと思うんですけど、分かんないことも避けないでやってました。

これはダンス論的なことかもしれませんが、
苦手なことはやらず好きなことを突き詰める人、苦手でもやる人、とで分かれると思います。

自分は苦手分野があるのが嫌ですごく練習してたんです。

実は元々ウェーブもヒットも苦手だったんですが、練習しまくってたらいつの間にか武器にもなっていたので、そこは大きな転換点ですね。

ーそれは意外です、、苦手にもちゃんと向き合うことで発見があるんですね。
人と一緒に練習することもその一環なんでしょうか?

そうですね。

当時は自主練ばかりでしたけど、それだとアウトプットができないんですよ。

それに結局踊るのは人前なので、未完成でもいいから人前に出してリアクションをもらったりしてました。

それからは自分で練習会を企画したり、DJタイムで踊るようになったり、新しい感覚が芽生えてダンスも変わっていきましたね。

ー結果が出始めたのもその時期からになるんでしょうか?

そうですね。

大学のチームでDANCE@LIVE JAPAN FINAL 2014 RIZEで優勝出来て、
その後個人でもFUNKY CHICKENで優勝出来ました。

FUNKY CHICKENでは名だたるメンバーと対戦できて、すごく思い入れ深いバトルでしたね。
シーンで自分のことを知ってもらえるきっかけにもなりました。

Tecchy vs がんそ POP FINAL [FUNKY CHICKEN 2015]

ー三つ目の転換点では、会社員を辞めてダンサーに。
大学卒業後は就職をされていらしたんですね?

大学生の頃にダンスのお仕事をいくつかさせてもらっていたんですが、
ダンスでお金を稼ぐよりも楽しみでやりたいと思ったので就職したんです。

ただ働いてる最中もダンスのことを考えてしまって笑
それで決断をして退社しました。

ーそうだったんですね。
退社してすぐお仕事に繋がったのでしょうか?

辞めて1年間は仕事を選ばずに色んなお仕事を受けてました。

それが功を奏してか、某テーマパークのダンサーや、レッスンなどのお仕事を持てたり、
早い内に軌道に乗れたのは良かったですね。

ー数あるキャリアの中で、特に達成感のあったイベントなどはありますか?

やっぱりJAPAN DANCE DELIGHTは大きいですね。

これまでバトルが好きで集中してたんですが、やはりストリートダンスシーン全体で見た時にコンテストを獲ることは、バトルにはないプロップスがあると思います。

それでDELTRIXで3年くらい挑戦し続けて、
2019年に初めてFINALに行けた時の喜びは格別でした。

ーバトルにはないコンテストの魅力とはどんなところでしょうか?

良くも悪くも言い訳できないところですね。

正直自分がいいと思って作った創作物に良し悪しをつけられるのがあまり好きではなくて、
ただコンテストはそこに勝ち負けがつくから面白いのかなと思います。

なのでコンテストと作ったものの良し悪しを決められるのは別で考えてますね。

DELTRIX_JAPAN DANCE DELIGHT VOL.26 FINAL_2019.8.24

『ストリート、APOP、踊ってみた、全てのシーンの架け橋的な存在になりたい』

ーここからは現在の活動もお聞きしたいのですが、
まずはざっくり今の活動を教えて頂きたいです。

今はバトルに沢山出てて、POPもフリースタイルもAPOPもあまり絞らずに出てますね。

あとはコンテストやショーにチャレンジしてます。

仕事だと、インストラクターと振り付け、あとはバトルのジャッジやYouTubeで「踊ってみた」なども上げたりしてます。

ー個人的にがんそさんと言うとAPOPの印象が強いのですが、 出始めたのはいつ頃からですか?

会社を辞めてからなので、25歳くらいですね。

正直自分はアニメなどはあまり見ないんですが、ストリートにはない良さを感じるのでA-POPが好きなんです。

ーストリートにはない良さと言いますと?

例えば、ストリートでは音ハメしすぎると少し寒くみられがちなんですが、 APOPだとみんな音ハメがずば抜けてるんでそこが刺激になりますね。

あと、APOPには「観戦勢」っていう言葉があるくらい、ダンサーではない一般のお客さんが多いんです。

外部から人を引き寄せる吸引力みたいなものは、ストリートだけにいると見えない気づきが多くありますね。

ー確かに音にバッチリハマった時のお客さん達の盛り上がりは凄まじいですよね笑
踊る時の意識の違いはどんなところでしょう?

ストリートではスキルや表現の魅せ方、POPだからこそできることを意識してますね。

APOPは楽しむとか沸かせる、より広い人達に伝えられるように試してる部分があります。

雰囲気で言うとAPOPは学生の合宿のダンスバトルに感覚が近くて、勝つよりもとにかく楽しむって感じですかね笑

ーAPOPで特に印象に残ってるバトルはありますか?

あきばっか~のvol.22でのバトルですね。

本当に流れが完璧で、ストリートだと起きないくらい綺麗に必殺技がハマりまくったバトルでした。

【アニソン2on2ダンスバトル】あきばっか~のvol.22 BEST16 ハヤケン&がんそ vs $&HIDE【 A-POP 2on2 DANCE BATTLE 】

ー最後に今後のこともお聞きしたいです。
どんなダンサーになりたいなど何か将来像はありますか?

ずっと思ってるのは、自分が今関わってるシーン全てで、みんなが納得するような結果を残したいですね。

ストリートならOLD SCHOOL NIGHTDANCE ALIVEなど大きいバトルを制すこと、
踊ってみただったらメディア出演や再生数など、
各界隈の人がすごいと思うところを目指して頑張りたいですね。

ーここまでマルチなシーンで活躍するダンサーさんも珍しいですよね。

そうですね。

ただ、どのシーンにもいる自分から見て全部いい所があるし楽しいので、 自分を通してそれぞれのシーンを見てもらったり、
シーンの架け橋的な存在になれたら嬉しいですね。

本当にそれぞれのシーンから学べることが沢山あるので、少し知っておくだけでも幅が広がるし、
みんなが協力すればダンス界はより大きく可能性が広がると思います。

ー確かにダンスシーン全体が力を合わせたらすごいことになりそうです、、!
最後にもう少し広く、人としてどんな人でありたいですか?

元気を与えられる人でありたいですね。

僕の活動を見て「元気出た!」って言ってもらえるのが一番嬉しいので、 自分を見た人にとって感情が何かプラスに動いてくれたら最高ですね。

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