ryo
-Childish Garments
-WONDER 808
CREW

19歳からダンスを始め、POPPINGをベースとしたスタイルで、
全日本ストリートダンス選手権優勝、Juste debout Japan best4など数々の実績を残す。

さらに同世代の若手POPPER達と組んだチーム「Childish Garments」や、師匠でもあるATZOさんとのクルー「WONDER 808 CREW」などでも活躍。

今回のインタビューではryoさんのダンサーとしての原点に触れながら、自分の心の声に従う生き方、
さらにATZOさんを筆頭に偉大な先輩ダンサー達から刺激を受け、あるべきダンサー像を模索してきたこれまでのダンス人生を振り返る。

『踊ってる時の不自由さをなくすように練習する』

ー今回のダンスについてまずお伺いしたいんですけど、踊る時に大事にしていることはありますか?

基本的に音楽以外はそんなに考えないようにしてますね。

練習の時は色々意識したりはしますが、いざ本番とか人前で踊るときは考えちゃうと音楽よりそういう考えが先に行っちゃって、ダンス的にあんまりいい気がしないんです。

なので音楽とそこへのアプローチだけに集中してますね。

-確かに考え過ぎても動けなくなりますもんね。
練習ではどんなことを意識してるんでしょう?

基礎はやっぱり大切にしてて、できる基礎の種類が多ければ多いほど、その組み合わせも増えたりするので、
より自由に踊るために基礎のクオリティを上げられるようにしてますね。

ー具体的にやってる基礎練などもあれば教えて欲しいです。

細かいとこで言うと、例えばウォークアウトの一歩踏み出すのとかも、自分が動いてて「あーここちょっと気持ち悪いな」みたいな部分を減らすような練習をしてますね。

こっちに体重乗るとちょっと気持ち悪いとか、ちょっと意識的に練習したり、不自由さをなくすみたいなのを意識してて、
自分自身とサイファーして向き合いながら一つ一つの基礎を確認してます。

-ナチュラルさへの追求というか、面白いですね。
あとryoさんのダンスはすごくクリアに動きが見える印象があります。

ありがとうございます。

自分は「SFX」っていう特殊効果を使った映画とか映像が好きなので、勝手にそれが昇華して表現として出てるかもしれないですね。

※SFX
Special Effects(スペシャル・エフェクツ)」の略称で、特殊撮影を意味します。 撮影現場で特殊な演出や効果を施し制作された映像、またその技法自体を指す。

わかりやすく言うとPOPPINGにもFXスタイルっていうアニメーションのスタイルがあって、
普通にウェーブ流すのに加えて、ストップも細かく混ぜたりするのが、自分のスタイルの中に自然と入ってるんです。

自分はPOPPINGをベースにFXスタイルとSF的要素を混ぜて、少し違和感やシルエットを出したりしてますね。

ーなるほど。確かにそこの違和感というか不思議さみたいなのもすごい感じました。
今回の踊りの中で、注目してほしいポイントなどもあれば教えて欲しいです。

自分は音楽のジャンルの中でファンクが好きで、今回はその中でも特に好きなP-FUNKを選びました。

P-FUNKには色んな名前の由来がありますが、サイケデリックファンクというかファンクに宇宙的なものをモチーフにした曲が多くて、
さっき言ったちょっとした違和感や色んなシルエットを踊りに入れているので、そういうのを楽しんでいただけたら嬉しいですね!

『稼ぐためじゃない。ダンスが上手くなるのが楽しくて踊ってる

ーありがとうございました!
ここからはryoさんのダンス人生にフォーカスしてお話を伺いたいのですが、
まずはご自身の中でここで踊り方や価値観が変わったという、3つの転換点を教えて頂きたいです。

一つ目は、大学3,4年生ぐらいで、師匠のATZOさんのレッスンに通い始めたことですね。

二つ目は、コロナに入ったタイミングと、同じくらいに大阪遠征に行った時に価値観が変わったことですね。

三つ目は、 去年(2022年)の12月で、「MAD GOD」っていうSFXを駆使した映画を観たことと、大阪のSeeNさんが東京にレッスンで来て頂いて、一緒に朝まで過ごしてそこで沢山インスピレーションをもらったことですね。

ーありがとうございます。その3つを軸に質問していきますね。
まずはそもそもダンスを始めたのはいつ頃ですか?

時期は19歳ぐらいですね。

ずっと野球やってたんですが、元々マイケルジャクソンとかを見るのが好きでダンスかっこいいなと思ってたんです。

それで大学行って最初野球サークルとかに入ってたんですけど、なんか新しいこと始めたいって思ってダンスサークルに入ったのがきっかけですね。

ー大学からだったんですね。
最初からPOPPINGだっだんでしょうか?

そうですね。色々ジャンルを見る中でかっこいいなって直感的に思いました。

マイケルジャクソンもPOPPINGの要素が強かったりするので必然的だったんですかね。

ー当時からバトルなど大学以外のシーンとかにも出てたんですか?

シーンには出てましたね。でも大学始めなんで最初は全然勝てなくて、めちゃくちゃ練習してるけど勝てない。結構しんどい時期でしたね。

-一つ目の転換点でATZOさんのレッスンに行き始めたのも、その頃ですかね?

そうですね。色んな先生のレッスンに行ってたんですが、ATZOさんの初めてのレッスンでウェーブを見てすごすぎて、めちゃくちゃ食らっちゃったんです。

それから通い始めた感じですね。

ーATZOさんのレッスンに通い始めてやっぱり変わっていったんでしょうか?

変わりましたね。ダンスのスキルもそうですけど、人間的にもいろいろ成長させてもらったと思います。

ATZOさんは、ちゃんと良いものは良いって言ってくれるし、ダメなとこはダメって言ってくれるので、今でもレッスンに通ってて気づきをもらえますね。

ー何か印象に残ってるATZOさんの言葉や得たものなどはありますか?

後の転換点にもつながるんですけど、コロナが落ち着いて1回目の大阪のFOREVERっていうイベントに出て、
自分的には全力で踊ってたつもりだったんですけど、ATZOさんに動画を見せたら、「いや全然まだまだいけるでしょ。もっとむちゃくちゃでもいいからとにかく全力出した方が絶対気持ち伝わるから」って言ってもらったんです。

確かにそうだよなーって思って、そこからまたダンスのスタイルがどんどん変わっていってる感じがありますね。

-まだまだいけるって背中を押されたんですね。
ちなみに大学卒業後はそのままダンサーとして活動し始めた感じでしょうか?

そうですね。最初は就職しようとして説明会も応募したりしたんですけど、毎回最寄りの駅の改札を通るのに気持ちが乗らなくて、行けないみたいなのを2、3回繰り返してたんです。

それでやっぱりダンスでやっていきたい!ってなってダンサーになろうって決めましたね。

その時はまだ全然下手だったんですけど、自分なら出来る思ってましたし、 なんなら大学でダンス始めて3ヶ月くらいの時からそういうことを言ってて、
最初はバカにする人もいましたけど、そこはもう自分を信じてやり続けようって腹を括りましたね。

ー2つ目の変換点で、コロナ禍でまた考え方が変わったとおっしゃってましたが。

そうですね。 コロナ入ってそれまでの仕事がストップして、自分と向き合う時間がめちゃくちゃ増えたんです。

そのタイミングで、俺はダンスで飯を食ってきたいんじゃなくて、ダンスが上手くなるのが楽しくて踊ってるっていうことに気づいたんです。

踊りたくない踊りをして、お金をもらうのってなんか違うなと思って、
それなら自分の好きなダンスをもっと極めたいなと思ったんですよね。

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『YO-BBOのお三方から、人生を変えるくらいの影響をもらった』

ーなるほど。自分の本当にやりたいことをそこでギュッと絞ったと。
大阪遠征も同じくらいの時期ですかね?

そうです。さっき話したFOREVERの時ですね。
コロナ禍で本当にひたすら練習しまくってそこで自信がついて、大阪のOLD SCHOOL NIGHTとFOREVERに挑戦したんです。

結構自信あったんですけど、どっちも予選上がれなくて、そこでさらに火がついてまだまだいけるなーって思いましたね。

あとは大阪の先輩達が本当に超ファンキーで、それを間近で見て今の自分に足んないのはそういうとこだなと思ったんです。

それで去年一年は、大阪のイベントに沢山遠征で行って、大阪の先輩達とも仲良くなったり、一緒にサイファー踊ったりとかで自分の中で本当にいいものを沢山いただきました。

実際その次の年のOLD SCHOOL NIGHTとFOREVERの予選は上がれて、ちょっとずつ結果が出せるようになってきましたね。

-すごいですね。何か大阪のダンサーさんにアドバイスをもらったりもしたんでしょうか?

話聞きに行ったんですけど、結局気合って感じで笑

でも実際先輩達の踊りはめちゃくちゃ攻めてるんで、大先輩達がこんな攻めてるのに、俺もっといけるなってなってそこでもう一個スイッチ入ったことがデカいですね。

ーATZOさんのアドバイスと似た感じということですかね?笑

やっぱり結局すごい人って大体みんな同じこと言うんですよね笑

みんな純粋にダンスが大好きでファンキーに踊ってる感じがやっぱり最高だなと思って、大阪でそれを味わって本当に成長させてもらいました。

ー結局そこだなってなったわけですね。 去年の中で特に印象に残っているイベントやバトルとがあれば教えて欲しいです。

東京のイベントなんですが、BOOさんがオーガナイズしてるTOKYO POPPING UNITYですね。

東京の凄い人達が集まってて、予選上がるのもギリギリなんです。

自分は予選上がろうっていうよりかは、もう本当に気持ちをぶつけて、それがたまたまいい結果に働いてBEST8まで行けました。

やっぱ深夜にやるからかすごいドープな雰囲気があって、 ヒリヒリする感じがめちゃくちゃ楽しかったですね。

Ryo vs HIROKI BEST8 Tokyo Popping Unity ~The Battle~2022

ーそうしたら3つ目の転換点、去年の12月に「MAD GOD」という映画を観たと言うことですが、これはどういった映画なんでしょう?

これは自分が一番好きなフィル・ティペットっていう人が30年かけて作ったSFXオンリーの90分の映画ですね。

スターウォーズとかジュラシックパークのSFXを担当した人で、 全部ストップモーションアニメだけで作られてて、世界観も地獄みたいな感じで本当に凄くて、自分は3回観に行きました。

ー色々とすごいですね笑
ストップモーションってことは一コマ一コマ撮影して動かしてってことですよね?

そうです。フィギュアを置いてそれを写真撮って、ちょっと動かしてもう一回撮ってを繰り返してるからめちゃくちゃ時間がかかる。
そこにやっぱり魂がこもってるというか。

あとはクリーチャーのデザインとかシルエットが凄まじいから、自分なりにアレンジしてダンスに落とし込んだり、めちゃくちゃインスピレーションをもらいましたね。

ーあともうひとつ、同じ時期に大阪のSeeNさんと出会ってお話したということですが。

SeeNさんはアニメーションのドンでATZOさんの師匠ですね。つまり師匠の師匠です。

「MAD GOD」の公開とSeeNさんに会ったのが、俺の誕生日の前後一週間くらいで、これは偶然じゃないぞと思ってます笑

SeeNさんのダンスを生で見て、人間が表現できる限界を超えてる人間を初めて見たというか、こんな違和感を出せる人間がいるんだって衝撃を受けたんです。

あと一緒にいてお話もできて、こういう考えでこういうダンスや今に行き着いてるっていうのもお聞きできて、
俺もまだまだこれからだなってめっちゃくらいましたね。

-上には上が居すぎてすごいです笑

ですね笑

SEENさん、KEIさん、ATZOさんは『YO-BBO』っていうチームを組んでて、みんな違ってみんなやばいので、
そのお三方と出会ってがっつりお話しした経験は、人生変わるくらいの影響を受けてますね。

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ー現在の主な活動もお聞きしたいです。

今はChildish Garmentsっていうチームで活動してて、ゲストショーなどをしてますね。

あとは個人だとジャッジとかレッスン、バトルに出たりとかですね。

今ATZOさんとも一緒に「WONDER 808 CREW」っていうクルーを組ませて頂いてて、 今後色々やっていきたいなと思ってます。

以前ご出演頂いたFatSnakeさんもChildish Garmentsのチームメイトですよね。

そうですね。あとはTAICHIの3人ですね。

個々のセンスっていうのは各々が好きなものを好きで磨いてるんで、3人が集まった時にそれを全力でアウトプットする感じですね。

ー今特に力を入れてるというか活動などもあったりしますか?

これ!っていうのはそんなになくて、もう普段踊るのが楽しいって感じなので、仲間とか先輩とかと一緒にサイファーするのも楽しいですし、パーティーイベントでみんなと踊るのも楽しいですね。

一人で練習するときは自分と向き合って、いいイベントがあったら挑戦してみたいな日々ですね。

ー今後ダンサーとしてどうなっていきたいなどもあるんでしょうか?

とにかく日々学んで自分が成長し続けることに全力を注いで、
その結果何かしらのイベントの賞だったりとかそういうのが取れればいいなと思ってますね。

ただ別に優勝したいから頑張ってるわけじゃないので、とにかく自分を磨いてれば将来何かしらになれるはずなので、
とにかく今を頑張れ!って感じでこれからも突き進みたいですね。

-今後のご活躍も楽しみにしてます!今回はありがとうございました!

ありがとうございました!

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撮影・編集・インタビュー:ReoKomatsu